令和7年度児童福祉文化賞「特別推薦作品」に選ばれ、表彰されました !

当団体代表・南研子による著書『アマゾンのふしぎな森へようこそ!』
——先住民の声に耳をすませば(合同出版株式会社)が、
令和7年度 児童福祉文化賞「特別推薦作品」に選ばれ、表彰されました。

編集を担当した合同出版の山林早良さんから
表彰いただいた作品についてのコメントをいただきました。

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このたびは、児童福祉文化賞の特別推薦に『アマゾンのふしぎな森へようこそ!』を選んでいただき、ありがとうございました。

さて、この本。著者の南研子さんは、お金が通用しない、文字もない、ガスも電気も水道もない、そんなブラジル・アマゾンの先住民を30年以上にわたって訪ね、支援されている方です。本には精霊や呪術師のエピソード、通過儀礼や祭りの様子が書かれていますが、エッというか正直ギョッとするような、今日本でくらす子どもたちにとってはうそみたいな世界です。下唇に木の皿を入れた長老の写真を見て、私の娘は「こわい話?」と聞いてきました。それが恐怖なのか、畏怖なのかはわかりませんが、自身の経験では理解が及ばなかったことはわかります。そんな世界の話です。

私は、南さんが前にお書きになった本を読んで、子ども向けの本を作りましょうと相談しました。アマゾンのくらしの中に、日本でくらす私たちにとっての今を生き抜くヒントがあるのではないか、あるいは子どもたちが家族や友だち、学校のこと、自分のことで悩んだときにも、こんな価値観やくらしがあると知っていることで顔を上げることができたり、視野が広がると感じてもらえるのではないかと思ったからです。

今日は本の中から、アマゾンの子どもの様子、子どもの育ちにかかわるエピソードを紹介します。あかちゃんは生まれて3カ月間はずっと母親といっしょ。母親はその間家事は完全に免除だそうです。それ以降は集落全体で子どもの育ちを見守ります。血縁家族のくくりはあいまいで、ご飯を食べるのも、寝るのも、自分の心地よいところですればよく、社会が子どもを受け入れます。歩けるようになると子ども社会の仲間入りです。10歳くらいの子をリーダーに森や川へ行き、「こっちはヒョウが出る」とか「この木を折るとおいしい水が飲める」といった生きる知恵を伝えます。また子どもたちは働く大人の姿を見たり、時々に長老の話に耳を傾けたりと、くらしの中で自ら学び、伝統的な文化や価値観をつないでいます。私たちの社会は自動化が進み、いろいろな意味でプログラムしやすいように数値化したりラベルをつけあう傾向にありますが、対極的なアマゾンの社会に道しるべを探してもいいのかなと思っています。

しかしアマゾンにも現代社会の問題は波及しています。先住民の管理区域外では鉱物資源や農場、牧場、ダムなどの開発によって森の破壊が進み、さらに気候変動の影響も甚大です。アマゾンといえば熱帯雨林と、みなさん高湿度を想像されると思いますが、今は地面がひび割れるほど乾燥しているそうです。その影響もあって昨今山火事が絶えません。アマゾンの森は「地球の肺」とよばれるように地球環境の要です。その森が失われていることは、日本の私たちにも無関係ではありません。こうした現実にも、子どもたちが目をむけてくれるとうれしいなとは思っています。

あらためて、このたびはありがとうございました。歴史ある事業に心より敬意を表します。

山林 早良さん
山林 早良さん

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本書が子どもたちの世界を広げるきっかけとなれば幸いです。
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