消防団事業

森林火災からアマゾンを守る(2015年〜)

シングー川流域の先住民族保護区の森では、近年、4月から9月まで続く乾季に森林火災が多発するようになっています。これは、保護区を取り囲む大農場から乾き切った熱風が吹き込むことで、森の乾燥化が急速に進んでいるためです。
先住民族は数千年に渡って持続可能な形の伝統的焼畑を営んできました。しかし、以前は自然に消えていた焼畑の火入れの火が、いまは乾燥化によって森の中にまで延焼してしまうケースが増えています。また、金の採掘や高級木材の伐採、川魚の密漁のために保護区に入る不法侵入者たちの火の不始末も、火災発生の原因となっています。
そのような深刻な状況の中で、カヤポ民族とユジャ民族の若者が森林火災を防ぐために消防団を結成しました。「生活をささえてくれる大切な森を自分たち自身の手で火災から守りたい」と、消防団員をはじめ、コミュニティ全体が真剣にこの事業に取り組んでいます。
2018年には、団員たち自身の発案により、火災で焼けた跡の森林復活事業も始まりました。化粧品の原料として商品価値の高い実がなる、この地域原産の木も植林することで、消防団事業の経済的自立の一助にしたいと若者たちは張り切っています。

支援内容

  • 消防用具や器材等の提供
  • 消防団本部施設の建設
  • マトグロッソ州消防の専門家を派遣して消防技術講習を実施
  • 若い世代のリーダーシップの育成

支援対象地域

カポト/ジャリーナ先住民族保護区

支援対象民族

カヤポ、ユジャ

養蜂事業

持続可能な自立経済をつくりだす(2010年〜)

ブラジル社会との接触が進むとともに、伝統的な先住民族社会にも、いやおうなく貨幣経済が入り込むようになってきました。森で暮らし続けながら、森を壊すことなく、森の恵みを生かしていく。そんな持続可能な経済手段をつくりだすことが、いま強く求められています。しかもそれは、先住民族自身が主体的に運営する、自立した経済のありかたでなくてはなりません。
そこでシングー川の上流域の諸民族が始めたのが、貴重な価値のあるアマゾンの森の天然ハチミツを生産する養蜂の取り組みです。先住民族は古来より野生のミツバチのミツを活用してきましたが、近代的な養蜂技術を導入することで生産性と持続可能性を高めています。またブラジル国内のNGOと協働して、生産したハチミツの流通ルートの確保と市販化にも取り組んでいます。市販化にはブラジルの食品衛生法に基づく政府の認証を得なければならないなどの条件がありますが、2018年以降、条件をクリアして市販化に至るコミュニティが着々と増えています。
アマゾンの森を守ることにつながるエコロジカルでエシカル(倫理的)なこの養蜂事業に、先住民族のコミュニティは将来性を見出して大きな期待を寄せています。

支援内容

  • 養蜂資材や器材等を提供
  • 養蜂専門家を派遣して養蜂技術習得のための講習を継続して実施
  • 他のNGOと連携してハチミツ製品の流通ルートの確保と市販化を行う
  • 政府の認証制度に則ったハチミツ加工施設の建設
  • リーダーシップや経営意識の育成

支援対象地域

シングー先住民族公園

支援対象民族

カラパロ、マチプ、ヤワラピチ、ワウラ

これまでの活動

植林事業

不法侵入者が盗伐したマホガニーの再生を図る目的で、カヤポ民族居住地域周辺にマホガニーの苗木を5万本植林しました。しかし、現在は当地で乾燥化が進み、自然発火等の影響で火災が多発しているために、植林事業は見合わせています。

教育事業

ブラジル社会との共生を図る目的で、先住民族(インディオ)の子どもを対象とした識字教育をブラジル人専門家と協力し、カヤポ民族6村に学校を建設し、教材購入、専門家を派遣しました。後にインディオ教師育成事業も展開し、現在は各集落でインディオの教師が教鞭をとっています。

インディオ女性の経済的自立支援事業

近い将来、貨幣制度が導入することが必至であるために、インディオの女性が経済的自立を促進する目的で、現地調達が可能な素材で工芸品を制作、販売協力を実施しました。

文化の保存と継承支援事業

先住民族独自の伝統文化継承の理解を外部に深める目的で、インディオの音楽や写真集を制作し、サンパウロで6回、日本(広島宮島、岡本太郎美術館)で2回、大規模な展示会を催しました。その際、開催場に現地インディオリーダーを招き、シンポジウムやワークショップ、交流会も実施しました。

水銀汚染対策事業

金採掘の際に使用する水銀が、アマゾン川及びその支流域に2000t放出されました。その流域で営んでいるカヤポ民族が甚大な被害にあったために、ブラジリア大学の教授と協力しその実態を調査しましたが、内政干渉にもなりかねないデリケートな問題であったために中断を余儀なくされました。

医療支援事業

感染症等が蔓延した際の緊急医療支援として、医薬品購入や医療費、緊急輸送手段である小型飛行機のチャーターの経費等を随時、援助します。

日本国内での活動
Page Top